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優れたAFMの条件?

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AFMを購入する際に重視される機能・特徴には、最終的なシステムの用途に応じて、さまざまなものがあると考えられます。このような機能・特徴を踏まえて、AFMシステムの評価を進める上で問題になるポイントは、お客様ごとに異なります。具体的な例として、重要なポイントをお客様からの質問の形で挙げてみます。

  • そのAFMシステムは、工業用途や研究用途に対応して設計されているのか?
  • そのAFMシステムは、マルチユーザー対応の環境に設置するのか?
  • そのAFMシステムは、必要なオプションをすべてサポートしているのか?
  • そのAFMシステムは、スキルの低いユーザーでも使いこなせるのか?
  • そのAFMシステムは、ハイエンドユーザーのニーズにも柔軟に対応できるのか?

お客様がAFMシステムについての情報収集を初めて開始した段階では、このような質問の形で、さまざまな疑問点が挙がると考えられます。

疑問点が解消され、実現性のあるシステムの候補が絞られた段階で、要件全般に最も適合するシステムを選定するために、各システムを根本的に比較・対照する必要があります。この目標を念頭に置いて、パークシステムズは、AFMシステムに求められる要件を網羅する形で「優れたAFMの条件」としてまとめています。

 

基本事項

歴史的に見て、AFMは、試料の相対寸法を測定する手段として優れた信頼性があることを実証してきました。その一方で、表面特徴の正確な絶対寸法を測定する手段としては、さまざまな課題の克服に苦心してきました。現在では、研究/工業用途で検出の対象となる寸法は、ますます微細化が進んでいます。この結果、AFMで試料表面の絶対寸法を正確に、かつ再現性を確保して測定することは、従来にも増して重要になっています。

ナノスケールの測定を実施する場合、測定の精度と信頼性、さらには使用可能なモードやオプションの柔軟性は、分解能と同様に重要です。AFMを購入/アップグレードする際には、さまざまな用途のニーズにかかわらず、AFMの性能は次に挙げる7つの属性による影響を受けます。

  • Noise Floor (ノイズフロア)
  • XY Scan Flatness (XY走査の平面性)
  • XY Scan Linearity (XY走査の直線性)
  • Tip Life (チップ寿命)
  • Thermal Drift (熱ドリフト)
  • Available SPM Modes (使用可能なSPMモード)
  • Option Compatibility (オプションの互換性)
 

ノイズフロア

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図1.. 「ゼロスキャン」によるノイズフロアの測定。ゼロスキャンでは、チップは試料表面に配置され、0.5ゲイン設定で0×0nm、256×256ピクセルの走査が実行されます。この1点固定の走査による信号が装置のノイズフロアに対応しています。

最小の環境振動でも、AFMの測定結果にノイズが付加される可能性があります。このノイズの発生が、最小部位を画像化し、平坦面の特性を明らかにする上で課題になっています。ベースラインノイズ(ノイズフロア)を測定するには、カンチレバーを試料表面に配置して、「ゼロスキャン」時のシステム応答を測定します(図1を参照)。AFMで適切な測定結果を得るには、ノイズフロアが0.5Å未満になるよう、振動対策を施す必要があります。

  • 0×0nm走査(1点固定)
  • 0.5ゲイン(接触モード)
  • 256×256ピクセル
 

XY走査の平面性

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図2.  Zランアウト(面外運動)は、試料の傾き補正を除く、ソフトウェア補正がかかっていない状態で、走査プロファイルの最低高さから頂点までの距離(一次平面適合度より高くなることはない)に相当します。試料は、光学平面(参照鏡)またはAFMキャリブレーション基準で平面部分に該当します。
AFMによる画像化の処理結果の精度は、スキャナの性能によって左右されます。この点から、AFMスキャナは、AFMの種類を問わず、最も重要な構成品であると言えます。したがって、処理結果のAFM画像(図2を参照)の歪曲を避けるには、スキャナによるアーティファクト(高次かつ非直線のバックグラウンド運動など)が存在するかどうかと、存在する場合はその量を評価することが非常に重要です。

このことから、平坦面の画像化処理時に面外運動を最小限に抑制するようなスキャナ設計を検討する必要があります。優れたAFMスキャナでは、走査レート(図3を参照)、走査サイズ、およびスキャナのオフセット(図4を参照)とは無関係に、Z方向の面外運動を走査範囲全体で数ナノメートル以内に収める必要があります。
 
xy-plane-motion-100
図3. 優れたAFMでは通常、100µmの走査領域全体で面外運動は+/- 2nmの範囲に収まり、測定の再現性は走査レート0.5、1、および2Hzで0.5nm未満です。再現性は、2回以上の走査の平均プロファイル間における最大の変動量であると定義されます。テストは、高速走査方向XおよびYの両方で実施できます
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図4. 優れたAFMでは通常、40µmの走査範囲全体で面外運動は+/- 2nmの範囲に収まり、測定の再現性はXYオフセット(0, 0)、(25μm, 25μm)、(25μm, -25μm)、(-25μm, 25μm)、および(-25μm, -25μm)で0.5nm未満です。再現性は、2回以上の走査の平均プロファイル間における最大の変動量であると定義されます。テストは、高速走査方向XおよびYの両方で実施できます。
 

XY走査の直線性

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図5. X-Y直線性は、高速走査軸の方向を変えてから、2回の直交走査をマッチングすることで評価されます。テストは、ランダムオフセット座標で40μm×40μmサイズのサイトに対して実施できます。
xy-linearity-matching
図6. 優れたAFMでは、2回の直交走査のマッチングで明白な不一致は現れず、XY走査の優れた直線性を示します。

 

XY走査の直線性も、AFMによる画像化の処理結果の精度を左右するという点で、AFMの種類を問わず、重要な特徴であると言えます。チューブスキャナのように、X方向とY方向の走査動作が連動している場合、X方向の拡大が発生すると、スキャナのY軸位置に直接影響します。XY走査直線性は、図5に示すように、2回の直交走査で生成された画像をマッチングすることで測定されます。このマッチングによる不一致の量から、X方向とY方向の走査動作にどの程度の直線性があるのかが明らかになります。

 

このことから、XY走査の直線性を最大化するようなスキャナ設計を検討する必要があります。優れたAFMスキャナでは、走査レート(図7を参照)、走査サイズ、およびスキャナのオフセット(図8を参照)とは無関係に、XY走査の直線性をランダムな座標(図6を参照)で0.05%未満に維持する必要があります。

 

xy-orthogonal-scan-01
図7. 優れたAFMでは、2回の直交走査のマッチングで明白な不一致は現れず、異なる走査レート(1Hzと2Hz)でも、XY走査の優れた直線性を示します。
xy-orthogonal-scan-02
図8. 優れたAFMでは、2回の直交走査のマッチングで明白な不一致は現れず、XYオフセット(0, 0)、(25μm, 25μm)、(25μm, -25μm)、(-25μm, 25μm)、および(-25μm, -25μm)で、XY走査の優れた直線性を示します。
 

チップ寿命

チップ寿命は、一貫性と信頼性のある高分解能の画像を取得する上で重要な要素です。チップが試料に触れて先の尖りが減ると、AFMの分解能が制限され、画像の分解能の低下を招きます。試料が軟質な場合、チップが試料の表面に触れると、チップだけでなく試料も損傷し、試料の高さの測定時に精度を劣化させる原因になります。以上の点から、チップの状態を損なわずに保持することが、一貫した高分解能・高精度のデータを実現するポイントになります。

 

AFMシステムのチップ寿命をテストする方法としては、硬度の高い表面に先鋭な部位が存在するCrNの画像化を推奨します。チップの先の尖りが減ったり、チップ自体が損傷したりすると、試料表面の先鋭な部位の底部に到達できなくなり、画像は不鮮明になります。優れたAFMでは、図9に示すように、CrN試料の画像走査を100回行った後でも、チップの先の尖りは失われず、試料表面の起伏(表面粗さ)は同じ状態を維持しています(図10を参照)。

 

tip-wearing-experiment-CrN
図9. チップチェッカーと呼ばれるCrN試料を使用して、チップを摩耗させる実験を簡単に実施できます。優れたAFMでは、走査を100回行った後でも、チップの先の尖りは失われません。チップ寿命が不十分な場合、チップの先の尖りが減って、損傷した結果、画像は不鮮明になり、試料表面の鋭角三角形の部位は描画されません。
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図10. 優れたAFMでは、チップの先の尖りは失われず、試料の表面粗さ値は同じままです。
 

熱ドリフト

AFMチップでは、装置内の機械部品の熱膨張や熱収縮に起因して、望ましくない動作が発生する可能性があります。この動作は熱ドリフトと呼ばれ、サイズ1µm未満の試料を正確に画像化する場合には、最小限に抑える必要があります。X方向とY方向のドリフト率は、試料表面上の特性構造の場所をマーキングして、数回走査を行った後で、各ポイントからのずれを測定することで明らかになります。優れたAFMでは、ドリフト率は1.5nm/min/℃よりも小さくなります。

xy-drift-Si-wafer
図11. このXE-100による取得例では、2×2um、256×256ピクセル、走査レート1Hzという設定の連続走査で、Siウエハー上の微細なナノ粒子を基準点として使用しています。 走査は未使用の新しい試料と新品のカンチレバーをXE-100に搭載して実施し、走査の前にシステムのウォームアップは行っていません。測定されたX方向のドリフト率は0.738nm/min、Y方向のドリフト率は0.523nm/minでした。
 

使用可能なSPMモード

1980年代における考案・開発以降、AFMはナノスケール測定に対応する最も高性能なツールとして進化を続けています。現在では、AFMは広範な物理特性を明らかにする手段として活用されています。各種SPMモードは、AFMユーザーによる物理情報の入手を可能にするものです。個別の試料や用途に応じて、適切なSPMモードを選択します。

  • 標準画像化
  • 化学特性
  • 誘電特性/圧電特性
  • 力測定
  • 電気特性
  • 液中画像化
  • 磁気特性
  • 機械特性
  • 光学特性
  • 熱特性
 

オプションの互換性

AFMは、多種多様な技法に基づく運用・操作に対応しています。また、技法ごとに、さまざまな条件で試料を画像化したり、広範な情報を生成したりすることが可能です。試料環境の相違や、使用する検出スキームに応じて、有用な一連の画像化技法が用意されています。

  • 低コヒーレンスのSLD (Super Luminescence Diode:スーパールミネセンスダイオード)光源
  • 走査範囲25ミクロンのZスキャナ
  • 加熱・冷却試料ステージ
  • 液体セル
  • ライブセルチャンバー
  • XY方向の電動試料ステージ
  • 信号アクセスモジュール
  • 自動シーケンシャル画像化用のステップアンドスキャン機能
  • 可変磁界発生器
 

What is a Good AFM